『お、おい駄目だろ!大怪我してるそんな体を動かしちゃ』

『こんなの、ソレイユの傷に比べたら全然平気……!』

私は、ソレイユに強がって見せた。

こんな怪我、ソレイユの怪我に比べたらどうってことない。

私は、今すぐでもソレイユに触れたかった。

ソレイユの温もりを感じたかった。

私は、ソレイユに手を伸ばして頬に触れる。

『ソレイユ……。良かった生きてて』

『死なないって言っただろ?』

『うん……』

『俺もお前に触れたいのに、体が言うことをきかない』

今回の闘いで、ソレイユが一番酷い怪我を負った。

私を庇って、私を守るために……。

『シアン、絶対アクの所に行くとか考えるなよ』

『でも……、そうすればみんなが……』

『絶対に行かせない』

ソレイユの強い意思の瞳に私は釘付けになった。

私が揺らぎそうになった時、ソレイユはいつも私を引き止めてくれた。

だから、そのたびに何度も踏みとどまれた。

もう、限界だった……。

私は、自分の胸に手を当てる。

ずっと、抑えてきたこの気持ちはもう溢れそうだった。

伝えたいのに伝えられないこの気持ちを伝えてしまったら、さよならする時に辛くなるから。

絶対言わないでおこうと思っていた。

『ソレイユ……、あのね……』

でも、もう抑えが効かない。

抑えが効かないくらい私は、ソレイユの事が大好きになってしまっていた。

『シアン?』

私は、ソレイユとの距離を徐々に縮めていく。

距離が近くなるとソレイユの頬も赤く染まった。

『私……、私ね!』

お互いの唇が触れそうな距離で私は口を開いた。

『私……、ソレイユのことが――!』

バァン――