fairy3 空の物語 上

【アク】

『グリードのやつ、面白い話しを持ってきてくれたものだよ』

さっきグリードから聞かされた、雪菜のもう一つのリンクした姿。

妖精は、人間に一人しか付かない。

そうなればmリンク出来るのもその妖精だけになる。

だが、雪菜はシアンという自分の妖精が居ながら、シアンとは別の妖精とリンクした。

『考えられるのは、あいつだけだが……』

あいつは、俺が殺したはずだ。

まだ赤子だったあいつを、俺はキセキの泉に投げ捨てた。

泉の中で生きていたという話は、聞いたことがない。

これまで一度もーー

『あいつなら、可能だというのか?』

もし生きているとするなら、とっくに俺を殺しに来ているだろう。

『何を考えているんだ……?』

雪菜のリンクした姿を見たのはグリードだけ、俺が直接目にする必要があるか?

「ねぇアク、何を考えているの?」

『イヴか?』

イヴは、ガラスケースの上に座りながら足を揺らしていた。

『ちょっとな、昔殺したやつのことを思い出していた』

「昔殺したやつ?それって誰なの?」

そうかイヴは、知らなかったね。

『話してあげるよ。こっちにおいで』

イヴに手招きをし、俺はイヴを膝の上に座らせる。

『これは、イヴと会う前の話だ』

「私と?」

『あぁ』

俺は、目をつぶり昔のことを思い出す。

シアンとリヤンが双子として生まれた時のことを――

☆ ☆ ☆

『母様、また新しい子が生まれたと聞きました』

『どうしたのアク?その子たちの顔でも見に来たの?』

『いえ、母様の体が心配で……』

母様は、双子の赤子を抱きながら優しく微笑んでいた。

母様の体なんて心配してないさ。

俺はただ、この双子がこの先俺の邪魔になる存在なのかを見極めに来たんだ。