fairy3 空の物語 上

『グリード……』

熱い手のひらが俺の手に触れたことに気づいた俺は、ルルの方へと振り返る。

ルルの手のひらは、傷ついた俺の腕をさすっていた。

『……大丈……夫?』

言葉一つ一つ言うだけで苦しそうに見える。

そんなルルの姿を見た時、胸が締め付けられる感覚に襲われた。

『……さっきも言ったが大丈夫だ。気にするな』

『……でも……』

『持ってきたぞグリード!』

ラースは、水の入った桶を持っていて、その後ろには大量のタオルを持ったエンヴィー姿があった。

『ルルの服を脱がせろ、タオルで身体を拭いてやれ』

俺は、ラースたちにそう言い、ルルから距離を取る。

ルルの服を脱がしたラースは、水で濡れたタオルでルルの体を拭いていく。

『あのグリード、傷の手当て……』

箱を持ったエンヴィーが、心配そうに俺を見上げて来た。

そんなエンヴィーに、俺はしゃがみこみ頭の上に手を乗せる。

『ありがとうエンヴィー、手当てしてくれるか?』

『は、はい!』

エンヴィーは、嬉しそうに微笑んだ。

エンヴィーに手当てを受けながら俺は、ルルの様子を伺った。

ルルは、数秒事に痛みを感じるのか表情が歪んだ。

ラースも羽を傷つけないように、慎重に体を拭いていく。

それを見ながら俺は考える。

羽が完全に生えることが出来れば、アクの言う鍵を作る儀式が行われる。

アクは、ルルの体に影響はないと言っていた。

だが、その言葉を俺は信じられない。

ルルには、俺の子を生んでもらわないといけないから、生きてもらわないと困る。

『終わりましたグリード』

『ありがとうエンヴィー』

俺は、エンヴィーの頭を優しく撫でる。

すると、エンヴィーは嬉しそうに軽く微笑んだ。

エンヴィーや、下の妹や弟たちを見る度に、毎度思うことがある。

こんな力を持って生まれなければ、俺たち兄弟姉妹は自由に生きられたんじゃないかと。

俺たちに力を与えたのは、ヴィーナス自身なのに、あいつは俺たちの力が強大すぎることに気がついた。

だからヴィーナスは、理不尽にも扉の奥へと俺たち兄弟姉妹を閉じ込めた。