fairy3 空の物語 上

『雪菜が、シアン以外の者とリンクした可能性があります』

『シアン以外の奴とリンクだと?!』

アクは、驚き目を見開く。

『その者は、俺の手甲鉤を一瞬にして止めました』

『……』

アクは、俺から目を逸らすと何かを考え始める。

『雪菜の体に異変が起こったのか……。だとしたら、まさか……』

『よろしければ、俺が独自に調査を』

『構うことない。気にするな』

『し、しかし……』

アクの冷酷な瞳を見た俺は、それ以上何も言えずアクの言うことに従った。



アクの報告を終えた俺は、ルルの部屋を訪れていた。

『入るぞルル』

部屋の中に入った時、目の前の光景に俺は目を疑った。

『な、なんだこれ……』

『……グリー……ド……』

俺は、急いでルルに近寄る。

ルルの背中から薄青色の羽が生えかけていた。

そのせいなのか、ルルはとてもぐったりしているように見えた。

『まさか、これがアクの言っていたヴィーナスになる前の前兆!?』

俺は、ルルの額に手を当てる。

『熱い……』

ただ熱いというレベルではなかった。

ルルの体は、熱湯でもかけられたように熱い。

『羽が生成された時の影響か……』

アクは、今のルルのこの状況は把握しているだろう。

だがこのまま放ったらかしで大丈夫なのか?

これ以上熱が上がれば、ルルの体にも負担がかかってしまう。

『ラース、居るか!』

ラースは、直ぐにルルの部屋へと姿を現す、そして俺同様にルルの姿を見て驚いた表情を浮かべた。

『る、ルル様!これは一体……』

『ラース!今すぐ布と冷たい水を用意しろ!』

『わ、分かった!だが、お前の傷の手当は!』

『このくらいの傷どうってことない。ルルのことを優先しろ』

『わ、分かった』

ラースは、慌てて部屋から出て行く。