fairy3 空の物語 上

『あいつが事を起こす前に殺したら、何の意味もないじゃない』

「意味もないだと?」

『どういうこと……?』

『ねぇ知ってる?“アクを殺す”という使命を受けた者の末路を?』

俺は、首を左右に振った。

それは、俺も知らないことだ。

『アクを殺したものは、最後は消えてなくなるのよ』

『き、消えるって……』

「お前まさか……!」

『私が無理矢理この使命を受けさせるために行動をとったのは、ただ私が消えたいだけだから』

自分が消えたいということのためだけに、こいつは最初から全て準備してきたのか?!

そんなことが可能だというのか!?

『だから、シアンの力も半分ほど貰ったのよ』

『シアンの力を半分貰ったって?』

『あの子、一度死んでるわよ』

「っ?!」

『あの子馬鹿だから。一回この泉に落ちたのよ。私が助けた時に、力を半分貰って、記憶操作をしたのよ』

「なんで、シアンにまでそんなことを……」

『……気に入らないのよ』

リヤンから漏れる殺気に、俺はまた一歩下がる。

『アクを殺す使命を受けるのは、私だけで十分なはずだったのに、ヴィーナスのやつは、私の双子の妹としてシアンにまでアクを倒す使命を与えた』

『それが、気に入らないの?』

『気に入らないわね、あんなやつを妹だなんて、私は思った事ないけど』

「だからシアンから力を奪ったのか?」

『そうよ』

じゃあその半分の力があれば、雪菜がグリード相手にあんなに苦戦することはなかったはずだ。

シアンも元々は、リヤンと同じくらい力を持っていたんじゃないのか?