fairy3 空の物語 上

は、早い……!

俺は、目の前にあるリヤンの顔を睨みつける。

『でも、結果オーライじゃない。私がいればアクなんて簡単に倒せるし、あなたの未来だって取り戻すことが出来る』

「くっ……」

俺は、一歩後ろへと下がった。

「一つ、おかしな点がある」

『おかしなこと?』

「お前は、俺の行動を泉の中で見ていたと言った。だけど、お前という存在は、俺がヴィーナスに未来のことを伝えなければ生まれないはずの存在だ」

『そうね。それは説明してあげる』

リヤンは、俺から離れる。

『理由はとっても単純なこと』

『単純だと?』

『私は、ルルたちが生まれる前から泉の中にいたもの』

「なっ?!」

どういうことだ?!

『キセキの泉化計画は、私が生まれた後に話が持ち上がったのよ。何十年も前だけどね。まだその時、妖精が消えるだなんて、誰も思っていなかったし』

「それは知っている。歴史帳を見て覚えてる」

『ならいいわ』

ならこいつは、アクと同じくらい生きているってことになる。

いや、もしかしたらアクより先に生まれていた可能性だってある。

『私は、妖精会が出来上がった時から存在していた。その後に生まれたのがアクだけど、あいつは将来的に私の力が邪魔になると思って、私を泉につき落としたのよ』

『そんなことが……』

「だけどお前は、ルルたちが生まれた後に生まれたはずだ!」

『記憶操作って知ってる?』

リヤンはにやりと笑う。

「記憶操作……だと?」

それは、オルドやヴィーナスができる技の一つだ。

『人の記憶を操作するのなんてとっても簡単なこと。私は、私以外の者たちの記憶を操作したのよ』

『それじゃあ、アクも……?』

『もちろん。私は、アクより強い力を持っているから、あいつの記憶操作なんて簡単にできるよ』

俺は、会ってはいけないやつに会ってしまったのかもしれない。

リヤンは思っていた以上に危険な妖精だ。

『そして、ヴィーナスには私とシアンを作らせた記憶を植え付け、アクには赤子だった私を泉に投げ入れた記憶を植え付け直した。どう?簡単なことでしょ』

「じゃあ、俺たちを過去に飛ばしたのは、その記憶の植え付けた通りにさせるためか」

『そういうこと。だから、私という存在を作らせるために、あなたには過去に行ってもらった』

じゃあ、俺はリヤンの手のひらの上で踊らされていただけだったのか?!

『ちょうど良いと思ったのよ。当然、妖精界が出来上がった頃からいる私は、あらゆる世界を見ることが出来る。だから、この世界が辿る未来だって見れる』

それで、過去を変えようとしていた俺たちを見つけて、自分という存在を作らせるために、俺たちを過去に送ったのか……。

なるほど、そういうことかよ……。

リヤンにとっては、ここまでは全て計算通りってことなんだな。

「一つ聞く、リヤンっ!」

『なに?』

「お前は、その力を持っておきながら、なぜ今までアクを殺さなかった!」

『……そんなの決まってるじゃない』

リヤンは、キセキの泉の上で一回転する。