fairy3 空の物語 上

【奇跡】

「……」

扉の中からアスナや他の妖精たちが、倒れている雪菜たちを扉の中へと運んで行く。

『いいの?奇跡は行かなくても』

「別に、今はあまり関わりたくない」

『そういう訳には行かないな』

俺の言葉を聞いたのか、扉の中からオルドが顔を出した。

「……何の用だ?」

『久しぶりだな、と言いたいところだが、お前に少し話を聞きたい』

「……」

こいつ、オルドとは過去に一度会っている。

過去に行った俺は、オルドとヴィーナスに未来に起こる『妖精戦争』のことを伝えた。

だけど、少し未来が変わったおかげなのか、妖精戦争の内容も大分変わる。

俺は、シンクとリンクを外しオルドに向き直る。

「俺から何を聞きたい?未来のことか?それともアクのことか?」

『俺が聞きたいのは、そのどちらでもない。俺が聞きたいのは、未来の雪菜のことだ』

「未来の雪菜のこと?」

オルドがそれを俺に聞いてくるってことは……。

「どうやら、気がついたようだな。あいつの存在に」

『まだ確信してはいない。だが、雪菜の体に変化があったのは確かだ』

「……目を疑うような再生能力か」

『ねぇ待って?!何の話しをしているの?』

「頭の悪いシンクには難しい話だ」

『な、なんですって!』

俺は、扉から離れて振り返る。

「後でそっちに行く、俺にはもう一つ確かめることがある」

『分かった』

俺の言葉に頷いたオルドは扉を閉めると、扉は光の粒となって消えてしまった。

「……さてと」

俺は、黒く染まりきったキセキの泉に目を向ける。

『ねぇ、どうするの奇跡?』

「さあて、どうしようか」

本当は会うつもりはなかった。

だけど、確かめたいことが出来てしまった以上、あいつから話を聞かないと駄目だ。

「なぁ、いるんだろ?その中にさ」

『奇跡……』

シンクは、俺の背中に隠れる。