fairy3 空の物語 上

『またな、シアン。次こそは、お前を――』

グリードは、最後に軽く笑うと扉の中へと消えて行った。

『助かった……』

そう思った時、体から力が抜けた。

『奇跡大変だよ!早く手当しないと!』

「分かってる。だから、少し声のトーンを下げて話してくれ」

奇跡と呼ばれた彼は、私の傍に歩いて来るとしゃがみこんだ。

「よく生きてたな」

『あなたは……、誰なの?』

「別に、ただの通りすがりの男だけど」

奇跡は、そう言うと立ち上がり雪菜の方に目を向けた。

「はぁ……、まさかここまで弱いだなんて思ってなかったな」

『奇跡の期待外れ?』

「どうかな?」

奇跡は、ポケットから鍵を取り出すと、直ぐ横に扉を出現させた。

『な、何でその鍵を持っているの!?』

奇跡が持っていた鍵は、人間界と妖精界を繋ぐ“時空の鍵”だった。

でも、その鍵を持つことを許されているのは、オルドだけのはず。

なのに、何でその鍵を奇跡が持っているの?

まさか、オルドが奇跡に渡したの?

「お前には関係のない話だ。それよりも、早く手当しないといけないだろ?」

奇跡が扉を開けた瞬間、中からアスナたちが飛び出して来た。

『シアン様!大丈夫ですか?!』

『あ、アスナ……』

あぁ、駄目だ。

もう意識を保つことが難しい。

私は、扉に寄りかかる奇跡に目を向けた。

『話を聞きたいところだけど……体が……』

体から力が抜けた私は、その場に倒れ込んだ。

『シアン様!』

『ソレイユ……』

ソレイユは、目を閉じてしまっていた。

どうやら意識がなくなってしまったようだ。

『私も……』

私もそこで意識が途絶えた。