fairy3 空の物語 上

すると、私の後ろの方から足音が聞こえてきた。

『……』

グリードは、足音がする方を睨みつけながら様子を伺っていた。

私は、足音がする方へとゆっくりと振り返った。

足音が聞こえる先へと振り返った時、そこに真紅の光が私の瞳に映った。

『真紅の光……?』

確か望美が話していた、暗闇の中で道を示してくれた光ーー

『誰だ。お前は……』

足音の正体の姿が見えた時、私は目を見開いた。

「誰って、そんなの決まってるだろ」

彼は、ゆっくりと腕を上げると、手の中にある拳銃の銃口をグリードに向ける。

「お前を倒す男だ」

『……まさかお前、守護妖精の持ち主か?』

「だったらなに?」

『っ?!』

彼の言葉に私は目を丸くした。

彼が守護妖精の持ち主なんてことは、絶対にありえない。

だって守護妖精は、全員で七人しかいないんだから。

それも、先代の守護妖精たちに認められないと、守護妖精にはなれない。

なのに、彼は守護妖精の持ち主だと言った。

だったら、彼は一体誰に認められたというの?

「そうだな。この時代で言うなら。八人目の守護者かな?」

『八人目だと?そんなの聞いたことがない』

「そんなの当たり前だ」

彼は、手の中にある拳銃に力を込めると、拳銃を真紅の光で包む。

『ちっ!』

それを見たグリードも、手甲鉤を構えて彼に向かって行った。

『きーせき!来るよー!』

「分かってる。黙ってろシンク」

奇跡と呼ばれた彼は、シンクと呼んだ妖精に冷たくそう言い放つ。

『……シンク?』

聞いたことのない妖精の名前だった。

雪菜の中に戻るまで、ある程度の妖精たちの名前は覚えていた。

でも、その中に“シンク”という名の妖精はなかった。

シンクの言葉と共に、奇跡の左目に照準が現れる。

『狙い定めたよ!』

「了解!」

奇跡は、グリードに向かって銃弾を撃つ。

『くっ!』

真紅の炎をまとった銃弾は、見えない早さでグリードの体に命中した。

銃弾が体に命中したグリードは、一度体勢を崩しかけたが、直ぐに体勢を立て直して彼に向かって行く。

彼は、グリードに隙を与えないようにどんどん撃っていった。

『ちっ!』

奇跡は、素早く弾の補充を済ませると、再びグリードに銃弾を撃つ。

『なんだ、この力は!それに、お前の武器は精霊剣ではないな!』

「あぁ。精霊剣じゃないさ」

奇跡は、拳銃を下ろすと撃つことをやめた。

「これは、精霊銃だ。よく覚えとけ、強欲の妖精グリード」

『……想定外の乱入だ』

グリードの後ろに黒い扉が現れる。

「逃げるの?」

『…シアンを手に入れる機会などたくさんある。ここは、一旦帰るだけだ』

「だから、それが逃げるんだって」

奇跡も、精霊銃をホルスターにしまう。