fairy3 空の物語 上

【雪菜】

今の私には、どうすることも出来なかった。

ただ、みんなが傷ついていくのを見ているだけ。

「愛斗……、奏佑……、未来……、沙羅……、一葵……、優空君……」

みんな倒れちゃった……。

こんなの、最初から敵う相手じゃなかったんだ。

「ねぇ、あの時夢に出てきた人……」

お願い!

今なの!!

今の私は、本当に心から力が欲しいの!

「だから答えて!私の声にっ!」

『本当に今なの?』

「え……?」

目の前が真っ暗な世界へと変わると、夢の中で出てきた女の子が姿を現す。

『本当に、今のあなたは力を欲しがっているの?』

「……うん!」

『……』

女の子は、何も言わずじっと私を見てくる。

『シアンを痛めつけるのは、ここまでにしておくか、これから持ち帰るのに、傷つけすぎてはアクに怒られるからな』

グリードは、私たちから離れて行く。

『さてと、それじゃあ最後の任務を遂行するか』

私たちから離れたグリードは、みんなが倒れている方へと体を向けた。

「っ!」

グリードは、まず最初にソレイユたちのところへと歩き始めた。

「待って……。愛斗を殺さないで!」

今のソレイユたちは、グリードによって、右手首と右足首の骨は折られてしまって体を動かす事できない。

だから、ロートを持って闘うことすら不可能に近かった。

「やめて、やめてltい!」

私は、直ぐに女の子に向き直る。

「お願い!力を貸して欲しいの!」

『……』

「あなたじゃない!私が心から力を欲した時、力を貸してくれるって!」

『足りないのよ』

「足りないって、なにがっ!?」

『“妖精を殺す”と言う気持ちが、今のあなたには足りない』

女の子の言葉に私はゾッとした。

「殺すだなんて……、そんなの思えるわけないよ!どんなに酷い妖精でも、たった一人の妖精で、たった一つの命なんだよ!」

『じゃあ、今のあなたに力を貸すことは出来ない』

「そんな……」

じゃあ、みんなが殺されるところを見ているだけなの?!

『殺す、という気持ちじゃなくてもいいよ』

「え……?」

『怒り、憎しみ、悲しみ……、それらでも別に構わない』

「負の感情なら、何でもいいって言うの?」

『それが私の力になる。大きければ大きいほどに』

女の子はそう言うと軽く笑った。

白い布によって覆われている顔からは、上手く表情が読み取れなかった。