fairy3 空の物語 上

沼田先生は、体育の先生で登校の時間厳守は徹底している人だから、遅れるわけにはいかなかった。

一葵は、風紀委員でもあるからその情報を持っていたんだと思う。

「朝からこんなドタバタだけど、大丈夫なのかなぁ?」

少し心配になりながらも、私たちは急いで学校に向かった。

☆☆☆

なんとか無事に学校に到着することが出来た。

でも、朝から走ったせいでどっと疲れてしまった。

沙羅たちと別れた私たちは、それぞれのクラスに向かう。

私と愛斗は同じくクラスだけど、沙羅と未来は隣のクラス。

「はぁ、疲れたよぉ」

「朝から走ったからね」

隣の席の愛斗は、鞄から教科書を取り出し机の上に置く。

ちらっと愛斗の鞄を見た時、私の目に見覚えのないキーホルダーが飛び込んで来た。

「あれ?愛斗の鞄にキーホルダーなんて付いてたっけ?」

「あぁ、これ?」

愛斗は、キーホルダーを取り外して私に見せてくれた。

一見普通のキーホルダーに見えたけど、よく見れば綺麗な細工が施してあった。

そして、真ん中のガラスの中には、赤紫色の蝶が彫られていた。

「綺麗だね!何処で買ったの?」

「実は、買ったわけじゃないんだ」

「え、そうなの?」

愛斗は、言いづらそうに私からキーホルダーを受け取ると、再び鞄に付け直す。

「気がついたら、鞄に付いてたんだ」

「へぇ、不思議だね。お母さんが買ってきて付けてくれたとか?」

「母さんにも確認したんだけど、覚えがないってさ」

それはますます不思議だ。

じゃあ、お母さんじゃないならいったい誰が?

「授業始めるぞー」

教室の中に、小林先生が入ってきた。

先生の名前は、小林天翔先生って言って、国語科の先生なんだけど、密かに女子から人気がある。

私は、お父さんの方がかっこいいと思ってるんだけどね。

でも、先生にはちゃんと子供がいて、隣のクラスにいるんだ。

そして、その子は沙羅の好きな人でもある。