fairy3 空の物語 上

「それより、ねぇ雪菜!昨日のドラマ見た?」

未来が一葵と奏佑の間をすり抜けて、私の隣に来る。

「うん、見た見た!主人公の人かっこよかったよねぇ」

「分かる!あの人が告白するシーン、本当に泣けた」

未来は、ポケットからハンカチを取り出して涙を拭く。

「ドラマで泣くとか考えられねぇわ」

それを聞いた未来は、一葵の足を思いっきり踏んずけた。

「いってぇ!」

一葵は、踏んずけられた足を抱えてその場でぴょんぴょん跳ねる。

「み、未来!何しやがる!」

「べっつにぃ、そこに足があったから踏んづけただけですけど?それがなにか?」

「お、お前なぁ!」

一葵が拳を構えた時、その手を奏佑が抑える。

「やめないか一葵、ただ足を踏んづけられただけだろ?」

一葵は、奏佑の手を払い除け強く言い返す。

「“ただ”じゃねぇよ!悪意こもってたっつの!」

「でも、俺たちは未来たちより一個上なんだから、気持ちくらい抑えないと駄目だろ?」

「さすが奏佑!一葵とは違って頼れるお兄ちゃんだね!」

未来は、嬉しそうに奏佑の腕に抱きつく。

奏佑は、恥ずかしそうに頬を赤く染めて苦笑していた。

「奏佑ってさ、未来が関わるとほんとポンコツになるよね」

「そうだね……」

私と沙羅は、呆れて溜め息をついた。

「まぁまぁ、それより早く学校行こうよ」

愛斗が公園の時計に指をさした。

公園の時計は、もうすぐ八時を指そうとしている。

その時間を見て一番慌てたのは一葵だった。

「おい、やばいだろ!あと十五分しかないぞ!」

「慌てなくても、これくらいなら余裕だろ?」

「お前は馬鹿か奏佑!今日は、沼田の野郎が立つ日なんだよ!」

沼田という苗字を聞いた私たちは、一斉に走りだした。

「さて、そろそろ本気で急ぐか」

「今日の一時間目なんだっけ?」

「確か国語だよ」

「小林先生の授業だね」

私たちは、一葵を置いて先に行く。

「ま、待てよお前らぁ!」

一葵も遅れじと走り出した。