fairy3 空の物語 上

「あ、あの……、ご迷惑でなければいいんですけど……」

思わずおどおどしている姿が、可愛く見えてしまった。

ひ、雛鳥みたい……。

「ほら、ちゃんと言葉にしてみろ」

「う、うん」

元気に頷く陽菜ちゃんの頭を、優空君は優しく撫でる。

その光景を目の当たりして、また胸が痛んだ。

「あ、あの!お二人に、私の友達になって欲しいんです!」

「と、友達?」

陽菜ちゃんの言葉に、私と愛斗は首を傾げた。

「陽菜は、小さい頃からこの病院で入院しているんだ」

「え、そうなの?」

「はい。だから、学校にあまり行ったことがなくて、友達もいないんです……」

「だから、雪菜と愛斗に陽菜の友達になってほしいんだ」

「そうだったんだね。僕でよければ友達になるよ」

愛斗は、陽菜ちゃんに手を差し出した。

「陽菜ちゃん、僕でよければ友達になってください」

「は、はい!こちらこそお願いします!」

陽菜ちゃんは、とても嬉しそうに愛斗の手を握る。

「あ、愛斗だけずるい!私だって、陽菜ちゃんの友達になりたい!」

愛斗に続いて、私も陽菜ちゃんに手を差し出した。

「私からもいいかな?陽菜ちゃん、友達になってください」

「あ、ありがとうございます!」

陽菜ちゃんは、にっこり笑うと私の手も握ってくれた。

「それじゃ、俺はちょっと看護師さんと話てくるよ」

「か、帰ってくる?」

「もちろん」

優空君は、鞄を持って病室から出て行った。

『なんか陽菜ちゃんといる時の優空って、お兄ちゃんって感じだね』

『当たり前よ。優空は、誰よりも陽菜を大切に思っているし、優空にとって陽菜はかけがえのない存在なんだから』

「かけがえのない存在……」

クレールの言葉が私の中に響いた。

そっか、優空君にとって陽菜ちゃんは、とても大切な存在なんだ……。

「あの、お二人に聞きたいことがあるんですけど」

「なにかな?」

「が、学校にいる時の優空って、どんな感じなんですか?」

「どんな感じって?」

陽菜ちゃんの言葉に、愛斗は首を傾げた。

「私、学校にいる時の優空がどう生活を送っているか知らないんです」

陽菜ちゃんは、窓の外に目を向けた。

「あまり詳しく話してくれないんです。私は、どんな小さな事でも優空のこと知りたいのに……」

『陽菜にとっても、優空はかけがえのない存在。陽菜の一番は、優空なのよ』

クレールの言葉がぐるぐる私の中で回った。

私は拳に力を込めて、さっきからチクチクしている胸の痛みを我慢しながら、陽菜ちゃんに微笑んで言葉を発した。

「あのね、学校にいる時の優空君は――」

私は、学校にいる時の優空君のことを詳しく陽菜ちゃんに話した。