fairy3 空の物語 上

「僕は、雪菜には不向きだよ」

「またお前はそういう……」

「だって、勝ち目ないよ」

「……」

僕は拳に力を込める。

「だって、優空は僕よりかっこいいし、勉強も出来て、運動も出来る。そんなの、雪菜が好きになるのが分かるよ」

『気持ちを伝える前から諦めるのか?』

「言ったところで、実るわけがないよ……」

僕は竹刀を持って、体を引きずりながら体育館から出ていった。

「愛斗、俺はそうは思わないぞ」

奏佑も転がっている竹刀を拾い上げる。

「お前だって、優空に勝ててるところたくさんあるだろ」

僕は、何とか足を早く歩かせ、足早に部室に向かった。

そんな僕の後ろを、ソレイユは何も言わず着いてくる。

部室に入り僕は制服に着替え始める。

『本当にいいのか?』

「なにが?」

つい、ソレイユに冷たく当たってしまった。

『このまま雪菜が優空に告白したらどうする?』

「どうするもなにも、僕は応援するだけだよ」

『愛斗……』

「それで、上手くいったら僕はちゃんと言うよ笑顔でさ……」

僕は、ソレイユに振り返って言う。

「おめでとうって……」

昨日のことを思い出して、僕は深くため息を吐く。

昨日のこともあって奏佑と一緒に朝行きづらかった僕は、LINEで奏佑に『先に行く』とだけ伝えた。

それに、昨日の奏佑のせいで体中が今でも痛い。

「次の大会までに直ればいいけど……」

そんなことを考えながら靴箱で靴を履き替えていたら、隣に影が見えた。

「ん?」

誰だろうと思って見た時、僕が今もっとも会いたくない彼がそこに居た。

「おはよ愛斗」

「ゆ、優空?!」

どうして優空がこんな朝早くから登校しているんだ?!