【望美】

「じゃあ、行ってきまーす!」

「いってらっしゃい。気をつけてね」

雪菜は、慌てて靴を履き家を飛び出して行った。

「あれ、雪菜はもう行ったのか?」

雪菜のお父さんが、眠そうに目を擦りながら二階から下りて来た。

「みんなと行くんだって、貴方も早くしないと、子供たち待ってるわよ“奈津”」

「分かってるよ。早いものだな」

奈津は、棚の上にある写真を見て微笑む。

そこには、私と奈津が結婚した時の写真と、雪菜が生まれた時の写真が飾ってある。

「そうだね。ルル達も元気にしてるかな?」

ルルたちとは別々に暮らしていて、数年前にヴィーナスが始めた“キセキの泉計画”のおかげで、ルル達妖精はキセキの泉へと住むことになった。

「大丈夫だよ“望美"。元気にやってるさ」

「そうだね」

私は朝食を机へと運ぶ。

「今日は、子供たちとサッカーしてくるんでしょ?」

「あぁ、サッカーをする楽しさを教えてあげたいからさ」

「そっか」

奈津は、今近所の子供たちにサッカーを教えている。

でも、それはごくわずかな時間しかできない。

奈津は、世界でサッカーをする夢を叶えて活躍をした。

私は、奈津と過ごせる時間が好きで、私も奈津が子供たちにサッカーを教えているところをたまに見学している。