fairy3 空の物語 上

【シアン】

『雪菜が目を覚ましたらしいぞ』

『ほ、ほんと……?』

みんなが居る部屋から少しだけ離れている部屋に、私はいた。

私がここに居ることに気づいていたソレイユはさすがだと思う。

そして、そんな彼の額には絆創膏が貼られていた。

『ソレイユ、その額どうしたの?』

『ドアにぶつけた』

『ドアに?』

『あぁ、ドアにだ』

ちょっとだけ照れながら言うソレイユが少し面白くて、私は軽く笑った。

『笑うなよ……』

『だって、ソレイユにしては珍しいなって』

『そんなことない』

ソレイユは私の隣に座る。

『浮かない顔をしていたけど、何を考えていたんだ?』

『……っ』

……やっぱりソレイユにはお見通しかな。

『ソレイユって、私のこと見すぎじゃない?』

『お前が好きだからな』

『……』

よく、そんなことをさらりと言える。

愛斗の家で私を“大切”言ってくれてから、今度は容赦なく私に“好き”だと言ってくれた。

熱を帯びた頬に気付かれないように、私は微笑んで答える。

『ありがとう、ソレイユ』

私はそれ以上は言わない。

きっとこの先も――

『……』

そんな私の様子を察したのか、ソレイユは苦笑した。

『これで、俺たちもみんな闘える』

ソレイユは私の手を握ってくる。

それがとても温かくて、私はソレイユの手を握り返した。

『もう、お前一人で闘わなくてすむんだ』

『ソレイユ……』

ソレイユは、私の体をを引き寄せると、優しく抱きしめてくれた。

『必ず、お前の使命は変えてやるからな』

『……』

何も言えない。

使命は絶対に変わることはない。

それなのに、それを変えるために闘うソレイユを見るのは、私にとっては苦痛だ。

『アクは、俺が絶対倒す』

私は、ソレイユの服を掴んだ。

本当は、ソレイユや雪菜たちには静かなところで幸せに暮らしてほしい。

でも、今の私一人じゃあいつを倒すことは出来ない。

あいつには、手が届かない。

だからみんなの力を借りなければならない。