fairy3 空の物語 上

『今日のところは引いてやるよ』

俺は、グラトニーの姿が見えなくなるまで矢を構えていた。

グラトニーの姿が見えなくなったのを確認してから、俺は矢を下ろす。

『はぁ……、エンヴィー大丈夫か?』

『あ、ありがとうプライド』

俺に向けられた笑顔に頬が熱くなるのを感じた。

『俺に用事って言ってたけど、俺に何のよう?』

顔が赤いのをバレないようにする為に、俺は直ぐに話を変える。

『こ、これ……』

『箱?』

エンヴィーは、箱を開けて中身を俺に見せてくれた。

箱の中には包帯や消毒、それに絆創膏などが入っていた。

もしかしてと思ってエンヴィーに聞いてみる。

『もしかして、俺の傷のこと気づいてたのか?』

『うん、プライドが帰ってくるところ見かけてね、それで急いで救急箱を取りに行ったの』

エンヴィーの優しさが嬉しくて顔がにやけそうになるのを、俺は必死に抑えた。

『あ、ありがとうエンヴィー。だけど、こんなのしばらくほっとけば勝手に塞がるし』

『もう、またそんなこと言って』

エンヴィーは頬を膨らませて俺を見てくる。

エンヴィーより少し身長の高い俺からしたら、エンヴィーが上目遣いで俺を見上げるシチュエーションができる。

これは俺にとってはご褒美だ。

『プライドっていつもそうやって強がるんだから。たまには私に手当くらいさせてよ』

『で、でも……』

この流れで行くと、エンヴィーが俺の部屋に入るってことになるよな?

いや!決して怪しいものとか、いやらしいものとかは置いていない!

ただ、エンヴィーと二人きりになるのは、凄く久しぶりだからテンションが高くなりそうで……。

『これはお姉ちゃんの命令だよ』

『は、はい……』

お姉ちゃんという言葉に俺は弱い。

特にエンヴィーに対してはな。

ラースもたまにお姉ちゃんという立場を使ってくることがあるが、あれはお姉ちゃんというよりもお母さんだよな。

それに、ラースは怒ると物凄く怖いから、逆らうことが出来るのは、せいぜいグリードかアクくらいだろう。

『それじゃあ、プライドの部屋行こ?』

『わ、分かった』

俺は渋々、エンヴィーと部屋に向かった。

『どうぞ』

部屋に誰かを招いたことはあまりないからやっぱ緊張する。

とくに、相手がエンヴィーだから。