fairy3 空の物語 上

エンヴィーは、グラトニーの部屋があるからという理由でこの場所を嫌う。

なのに、何故こんなところにいるんだ。

『ラースはいないのか?!』

辺りの気配を探ったが、ラースの気配は感じられない。

『くそ……』

ラースが居れば、グラトニーは簡単に引き下がるってのに……。

『おいおい、せっかくお兄ちゃんが誘ってやってるのにさぁ』

『あなたは、お兄ちゃんなんかじゃありません!私のお兄ちゃんは、グリードだけです!』

強気の口調のエンヴィーに俺は驚いた。

いつもなら、ラースの後ろで震えているだけのエンヴィーなのに、今日は何か違うようだ。

『そこをどいてグラトニー。私はプライドに用事があるの』

『お、俺に?!』

一瞬嬉しいという気持ちが過ぎったが、俺は直ぐにそれを振り払った。

『へぇ、プライドに用があってここに来たのか?』

『そうです!プライドが帰ってきたのは知ってますから』

『あいつはまだ部屋にいねぇよ、部屋に来るまで俺と遊ぼうぜ』

グラトニーは無理やりエンヴィーの手首を掴む。

『や、やだ!』

それを見た俺の中で殺意が芽生えた。

『あいつ……』

俺のエンヴィーに触れやがった……。

『またいつものように遊んでやるからさ、な?』

『い、嫌だ!!』

無理矢理連れていこうとするグラトニーに向けて、俺は矢を構える。

そしてグラトニーの名を呼ぶ。

『今すぐその汚い手を離せグラトニー!!』

『んぁ?』

グラトニーは、ゆっくりとこちらに振り返る。

『んだよお前、居たのかよ?』

『ずっと居たさ』

俺たちの間で火花が散る。

『つーか、なんだよそのかっこ。こてんぱんにやられて来たのかよ』

鼻で笑うグラトニーに、俺は言い返す。

『お前こそ、自慢の斧がボロボロだな。まさか、負けて帰ってきたのか?』

『こ、こいつ……』

俺はグラトニーをギロりと睨む。

『エンヴィーを離せ……』

『……分かった分かった』

グラトニーは、エンヴィーから手を離して両手をあげる。

『ぷ、プライド!』

エンヴィーは直ぐに俺の後ろに隠れる。