fairy3 空の物語 上

【奇跡】

「やっと着いたか」

丘の上から町を見下ろしながら俺は大きく伸びをした。

『ほんと、長旅だったよねぇ』

俺の隣で同じく伸びをする真紅の妖精シンク。

いろいろとあって時間を取られてしまったが、何とか無事到着することが出来た。

『それで、今どこまで進んでるのかな?』

「さあな」

辺りは暗く太陽はまだ昇っていない。

俺は、ポケットから携帯を取り出し電源を入れる。

「よし、電波はあるな」

これで携帯は使える。

電源を切ろうとした時、俺はホーム画面にしている写真を見て微笑む。

「この時代の二人は、どんな生活送ってるんだろうな?」

過去にあったあの二人は、あの後どうしたのだろうか?

無事に目を覚ましてくれただろうか?

『じゃあ、それも踏まえて情報収集しに行こうよ』

「そうだな」

リュックを背負って裏山を下り始める。

『それでさ奇跡』

「なんだよシンク、さっきから妙にテンション高いな」

『だって!やっと来たんだよ!』

「そんなの分かってる」

まったく、さっきまで記憶を失っていたやつがよくここまで回復したものだ。

『それでさ奇跡!』

「もう、なんだよ!」

『雪菜たちとは、一緒に闘うの?』

それを聞かれた俺は足を止める。

「それは、あいつら次第だ」

それだけ答え再び歩き出す。

『ほんと、手厳しいよね』

そんな俺の後をシンクは追いかける。

ここよりも前の過去に行ったのは偶然ではないのだろう。

俺がヴィーナスとオルドに伝えたことによって、この世界でどうそれが芽吹いたのかしっかりと見させてもらう。

俺があいつらに力を貸すのはその後だ。