fairy3 空の物語 上

『も、もしかしてこれは……』

ラストは、俺から距離を取る。

「さてと」

俺は、背中にかかっている二つの鞘から二本の精霊剣を抜く。

そんな俺の姿を見たラストも大鎌を構える。

「少し君にお説教しなくちゃいけないね」

俺は、右手にキル、左手にトスを持ち、ラストに向かって行く。

『奏佑、手加減は必要ないぞ』

「分かった!」

俺は素早くラストとの距離を縮めた。

『は、早い――!』

「はぁぁ!」

ラストに斬りかかった時、ラストはキルトスを大鎌で迎え撃つ。

『リンクしますと、大分力が違いますわね』

「そうかな?!」

『きゃあ!』

ラストを押し返した俺は、キルでラストのドレスを斬る。

『わ、わたくしのドレスがっ!』

「まだまだ!」

今度はトスで斬りかかる。

『このっ!』

ラストは大鎌を振り回す。

「おっと」

俺は壁の上へと逃げる。

『よくも……、わたくしのドレスを……!』

ラストは、瞳に涙を浮かべていた。

ちょっと悪いことしちゃったかな?

『あなたは…』

ラストの肩が震える。

「やべ、完璧泣かした」

『泣かしてもいいだろ』

「いや、それはまずいって!」

オランジュにそういった時、ラストの甲高い声が俺の耳に届く。

『絶対許さないんだからぁぁ!』

「へっ……?」

ラストはさっきまでとは違い、幼い子供のように声を上げて泣き始めた。

「えええ!ちょっ!」

俺はキルトスを鞘に戻し慌ててラストに駆け寄る。

「ご、ごめんって!まさか泣くとは思わなくて」

『このドレス、ラース姉によく出来てるねって褒めてもらって、いちばんのお気に入りだったのにぃ!』

ラストはそう言うと更に泣きじゃくる。

泣いているせいなのか、それとも猫を被っていたのか、ラストはさっきとは違う口調になっていた。

『もう!今日は帰る!』

「はぃ?!」

ラストは、後ろに手をかざす。

すると、そこに真っ黒な扉が姿を現す。

「マジックかよ……」

『それに……、今日の任務は終ったから、もうあなたと闘う意味なんてないし』

「え!それって」

『あっかんべー!』

ラストは、大鎌を拾い上げ黒い扉に向かう。

『もう二度と、あなたなんかと闘いたくない!』

ラストは、扉を開け中に入ると思いっきり扉を閉めた。

そして黒い扉はそのまま消えていった。

「一体なんだったんだ?」

『さぁ……、まるで嵐のように去っていったな』

「あぁ……」

俺はオランジュとリンクを外す。

すると、俺の後ろにもオレンジ色の扉が現れる。