fairy3 空の物語 上

【未来】

「うわぁ!」

私は前のめりになって転ぶ。

「いたっ!」

『未来、大丈夫?!』

「う、うん……!」

膝がヒリヒリして痛いし、血も出てきた。

『おいおい、逃げてばっかで大丈夫なのかよぉ?』

土煙の中から大きな斧を持った人影が姿を現す。

『たくよぉ、何で俺がお前みたいな小娘を相手にしないといけないんだよ』

男は、斧を肩に担ぎ土煙を吹き飛ばす。

「っ……!」

私は思いっきり彼を睨みつける。

『なんだよその目……、このグラトニー様に向かってなんだよその目は!』

グラトニーは釜を振り回し、周りにある桜の木をどんどん斬り倒していく。

「や、やめてよ!桜が枯れちゃうじゃない!」

私はグラトニーに叫ぶ。

『ああん?桜が枯れるだぁ?そんなこと知るかよ』

グラトニーは桜の枝を折るとそれを口へと運ぶ。

『桜なんてよぉ……、美味くねぇんだわ』

「さ、桜の枝ごと……」

『さすが暴食の妖精グラトニー、あいつに食べれないものはないわよ』

グラトニーは、ニヤリと笑い私たちを見てくる。

『そういやぁ、妖精持ちの人間は食べたことなかったなあ』

「ひぃっ!」

グラトニーの言葉で、私の体に鳥肌がたった。

今の発言からしてこいつは、人間も食べたことがあるんだ。

『未来立って!とりあえず、逃げないと!』

今の私には、ローザの言葉は入ってこない。

体が震えてそれどころではなかったから。

『おいおい、最高だなその表情。俺は、人間の中でその顔が一番好きなんだよ!』

グラトニーは斧をぺろりと舐める。

『俺の好きなものはなぁ、恐怖・絶望だ!今のお前は、そんな顔をしてるんだよ』

『未来!しっかりして!』

私は後悔していた。