fairy3 空の物語 上

「それでね――」

陽菜が言葉を言いかけた時、陽菜を担当している看護師が病室へと入ってきた。

「陽菜ちゃん、検査の時間だよ」

「は、はい……」

俺は陽菜の声が小さくなるのに気がついた。

「陽菜?」

「それじゃあ行ってくるね。……ねぇ、優空。まだいる……?」

陽菜は寂しい目を俺に向けてきた。

俺は微笑んで頷く。

「あぁ、話しの続きも気になるしな」

「良かった!それじゃあ行ってきます」

陽菜は看護師と一緒に病室から出て行った。

俺は、静かになった病室で重々しく溜め息をつく。

『本当は気づいているんでしょ?彼女のこと』

「分かってるさ……」

今度、陽菜は大きな手術をすることになっている。

それが成功すれば、俺たちと同じく学校に通えるようにもなる。

だが、その話を医師に聞いてから陽菜の元気がない。

上手く俺に隠しているようだけど、陽菜のことをずっと見てきた俺にとってはバレバレだ。

陽菜は手術を怖がっているんだ。

「クレール、最後の条件は俺次第って言ったよな?」

『そうよ』

「アクはこの世界を壊そうとしている。なら、俺は陽菜の為に闘ってもいいのか?」

『言ったでしょ?優空次第だと』

「そうか……」

俺は立ち上がると窓の外を見た。

そして窓ガラスに触れようとした時、廊下の方から大きな音が聞こえた。

「なんだ……?!」

『まさか、こんな所まで追ってきたの?!』

クレールの言葉で俺は急いで病室から出る。