fairy3 空の物語 上

【優空】

俺は雨の降る中を歩いていた。

服は雨に濡れただひたすら道を歩いて行く。

『ねぇ優空、何処に向かってるの?』

「……」

俺はクレールの言葉を無視した。

そんなこと聞かずとも分かっていることなのに……。

さいわい俺たちが出た場所は、学校の屋上だった。

場所と時間はクリアした。

だが、あとは条件だけ。

クレールはその条件を俺には教えてくれない。

クレールは俺が自力で条件を見つけるのを待つつもりなのだろう。

俺は歩く足を止めてある建物を見上げた。

そこには『百合園病院』と書かれていた。

俺は百合園病院の中へと入って行き、三階のある病室へと向かう。

『ここに来たかったの?』

俺はクレールをチラッと見たあと病室の扉を軽くノックする。

「どうぞ……」

中から怯えた声が聞こえた。

「失礼します」

俺は迷わず病室の中へと入る。

「あ、優空!」

病室の中にいた彼女は、俺の姿を見ると優しい笑顔を浮かべた。

「寝てなくていいのか?陽菜(ひな)」

「うん!大丈夫。それよりも優空、びしょ濡れだよ?」

「大丈夫だよ。直ぐに乾くさ」

「風邪には気をつけてよ」

「心配してくれてありがとな」

彼女は篠田陽菜(しのだひな)。

俺の幼馴染だ。

陽菜は、小さい頃からこの病院で入院しているんだ。

「今日は、雨降ってるね」

「そうだな……」

俺は学校が終わったら毎日ここに来ている。

陽菜に会うために。

「あのね優空、今日看護師の嶋田さんがね――」

彼女はその日にあったことを楽しそうに俺に話してくれる。

俺はそんな陽菜を見るのが好きだ。

病気に負けず元気に過ごしている陽菜が俺は好きだ。