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結局、あたしは放課後まで眠気を我慢して過ごすことになった。


それは聖也も同じだったようで、なんどか完全に目を閉じてしまっては、授業の先生に怒られていた。


「今日はこのまま帰って勉強でしょ?」


すでに帰る準備を終えた結菜がそう聞いて来た。


「うん……そうだね」


あたしは曖昧に頷いた。


今日はこれから聡さんのとこへ行く。


課題もしなきゃいけないし眠気が我慢できないほどだったけれど、最優先しなきゃいけないのは聡さんだった。


「じゃぁ、あたし先に帰るね」


結菜があたしに背を向けて教室を出る。


あたしは欠伸をかみ殺しながら鞄を手に立ち上がった。


一瞬、聖也と目が合う。


聖也は無言で床を指さした。


あたしはそれを下駄箱で待ってる。


の意味だと捕らえた。


別に一緒に教室を出てもいいけれど、妙な噂が立つのを恐れたのかもしれない。


「野乃花、今日はどうしたんだよ」


教室を出ようとしたところで和に声をかけられてあたしは立ち止まった。


「えへへ。ちょっと眠たくて」


そう言い、頭をかく。


先生に怒られたところを和にも見られたのだと思うと、途端に恥ずかしくなった。


「大丈夫か? 一緒に課題するか?」


「えっ……」


和と一緒に課題?