丸山先生の育ての親に許可をもらったあたしと聖也は、そのまま丸山先生の家にお邪魔することになった。


担任の先生にはおばさんの方からうまく行ってくれたらしく、鞄は後になってから先生がわざわざ届けてくれた。


「いい人だね」


通された和室であたしは聖也にそう言った。


「あぁ。丸山先生はこんな人たちに囲まれて幸せだったんだろうな」


家の中には50人くらいの親戚が集まっていたが、それでも余裕があるほどの大きな古民家だった。


離れや蔵もあり、まだまだ人が来ても大丈夫そうだ。


あたしと聖也が通された部屋は丸山先生の部屋だったのだが、先生のイメージとは違い完全な和室だった。


棚や机は置かれておらず、テレビすらない。


真ん中にドンッと大きなテーブルがあり、壺や掛け軸が飾られている。


丸山先生は生徒にも人気が高い若い先生だったから、もっとオシャレな部屋だと思い込んでいた。


「やぁ、お待たせ、足をくずしていいよ」


聡さんが大きなアルバムを5冊も両手に抱えて戻って来たので、あたしと聖也は慌ててそれを受け取った。


一冊がずっしりと重たい。


「おじさんが大の写真好きでね、一眼レフっていうの? あれで俺たちを撮ってたんだ。ここへ来たときから俺たちはずっとおじさんの被写体になってたんだ」