「聖也、どうかしたの?」


バスに戻ってそう声をかけると、聖也は驚いたように顔を上げた。


その目は真っ赤に充血していて、目の下にはクマができている。


昨日はあまり眠れなかったようだ。


聖也はあたしと同じで人の死が見えていて、聖也はそれをどうにかして変えようとしている。


丸山先生の葬儀前日に眠れないのも、無理はなかった。


「あぁ……。葬式ってさ、いろんな人が来るから苦手でさ」


そう言い、またこめかみを押さえる聖也。


一瞬、聖也は人ごみが苦手なのかと思った。


だけどそれは違うとすぐに気が付いた。


聖也は身近な人の死を予知する。


身近な人というのはいろんな意味でとらえる事ができた。


家族や友達や恋人。


また、中がよくなくても至近距離にいる人物もそうだ。


「昨日はどのくらいの予知夢を見たの?」


そう聞くと聖也は左右に首を振った。


「わからない。多すぎて、覚えてないんだ」