丸山先生が搬送された先は学校からそう遠くない大きな総合病院だった。


大抵の緊急患者はここに連れて来られる。


制服姿のままここまで来てしまったあたしたちは受付で立ちどまった。


丸山先生の下の名前を知らないのだ。


「どうしようこのまま帰るわけにもいかないし」


「クラスの連中に聞いてみる」


そう言い、聖也は携帯電話使用区間に移動してスマホをいじり始めた。


しかしすぐに戻ってきて左右に首を振った。


副担任の先生の名前を知っている生徒がいなかったのだろう。


学校はまだ授業中で、職員室に聞きに行ってもらうこともできない。


どうすればいいだろうと考えていた時、担任の先生の姿を見かけた。


先生は一度学校に連絡を入れているのか早足に携帯使用区間まで歩いて行く。


その途中、ふいに振り返った先生と目が合った。


学校の制服を着たままのあたしと聖也を見て、驚いたように目を丸くすると大股に近づいて来た。


怒っていると言うより、困惑した表情だ。