『すごいじゃん! ずっと手を繋いでたの?』


「そうなの! カラオケ中もずっと。和が離さないんだもん」


そう言いながら自分がノロケ話をしていることに気が付いた。


『やっぱりね! 前から和は野乃花狙いだと思ってたんだ! それを礼が邪魔してたんだから』


結菜は礼の行動を思い出したように、少し苛立った口調でそう言った。


死んだ人を悪く言いたくはないけれど、礼の事を思い出しても嫌な記憶しか出て来ない事は事実だった。


「それでね、次の日曜日にデートに誘われたんだよ!」


あたしは礼の記憶をかき消すように元気な声でそう言った。


『嘘!? 次の日曜日って2日後じゃん!』


結菜が驚いたように声を上げる。


「そうなんだよね。どうしよう結菜。1日中和とデートだなんて、あたし緊張して死んじゃうかも!!」


大げさではなく、本当にそう思っていた。


放課後の数時間一緒にいただけでも、あたしの心臓はドキドキしっぱなしだったんだから。