180は優にあるであろう高身長に、


洒落た黒のストライプ入りのスーツをサラッと着こなし、


柔らかそうで少し長めの黒髪を、自然に後ろに流したヘアスタイル。


整い過ぎているとしか言いようのないこの容姿で、数々の女をはべらかしている…とか。


それは、女性教師並びに女子生徒も例外ではないらしく…かなりの問題教師だ。



…まったく。


そんな人がなぜ私のような


“ど”の付く真面目、且つ地味な生徒をからかう必要があるのか。


そして、何が楽しいんだか。


…あぁもう。


予備校までの間、図書室で少し勉強でもしようかと思ったのに…


この人のせいで時間を無駄にしてしまったわ。




私は身を翻し、早々に屋上から出る為ドアノブに手を掛けた。



その時、先生の指の間からタバコの吸殻が滑り落ち、


靴と地面が擦れるジャリっという音を立てながら、落ちた吸殻を踏み消す先生の姿が


視界の端に映った気がした。



––––トン



「開けんなよ。まだ、話は終わってない」