嫌な夢でも見ているの? それとも、何か生理的なものだろうか? この時の私は、先生のその涙の意味をそれ以上深くは考えなかったんだ。 先生の涙をすくい、頬にそっとキスを落とす。 「先生。ありがとう。おやすみなさい」 そう言って、また先生の温かい腕の中へと潜り込む。 今まで感じた事のない幸福感に包まれながら、私も夢の世界へと落ちていった。 これが、先生と私の最初で最後のクリスマス。 –––––– –––– 「…今、何て?」 「翔太が、学校を辞めたんだ」