「あなた、Y大って言ったら、今の志望校よりどれだけレベルが落ちるか分かってるの?」


「うん。分かってる」


「教育学部だか何だか知らないけど、そんなのただ、今の大学を目指すのが辛くなっただけなんじゃないの?志望校のレベルを落として、楽しようとしているだけ」


「違う!!」


私は、思わずお母さんの方へと身を乗り出す。


「それは違うよ!お母さん!私ね……っ教師になりたいの!」


「……教…師?」


「そう。私が持っている知識を誰かに伝えていける仕事がしたいって思ってる!」


岩田先生が私にしてくれたように。


勉強はもちろん、それだけじゃなくて。


人それぞれの価値観。


物の見え方が一つじゃないという事。


いつだって道は一つじゃないという事。


そして……


道の脇には必ず花が咲いてるという事。



もしも先生が教えてくれなかったら、私は一生その事に気付かなかったかもしれないから…。



きっと私がそうだったみたいに、今見えている道が全てだと思っている人は沢山いる。


だからいつか、そういう人達と出会った時に伝えたいんだ。


あなたの道の脇にも、沢山の花が咲いている。


その花に手を伸ばした時、きっと新しい世界が開けるんだって……。