付き合うって何?


恋人って何?


形のないそれは、具体化しようとしてもぼやけたままで、一向に形を成さない。


だけど、どこか期待や希望に満ち溢れていて、


密かに私の気持ちを高揚させた。



“最初は”………ね。





カーテンの隙間から射し込む太陽の光が、今日も残暑だと伝えてくる。


チュンチュンと鳴く鳥の声は、私の心とは裏腹に爽やかで、私はそれを呆然とベッドの上で聞いていた。


「……嘘でしょ…」


思わずそんな声が漏れてくる。



寝る時以外はほぼ勉強。


そんな夏休みはあっと言う間に終わり、気付けば今日は新学期。



結局、講習会の後、岩田先生からはなんの音沙汰もなかった。


いや……。

確かに連絡先の交換をしていない私も悪い。


だけど、だ。


あっちは教師。

いくらだって調べようはあるはずだ。


まぁ要するに?


あの男は、そんな面倒な事をしてまで私に連絡をするほどの情熱など、持ち合わせていないというわけで。



別に私の事など、大して頭にない事はよーく分かりました。


“もしかしたら”と思って、携帯電話を手放せなかった自分がバカみたいじゃないか。