そして2人に会うことなく、さらに半年が経った。
正広に一弥が出所したと聞き、あたしたちはまた同じところに行く。
すると新田海と櫻井滋がもうそこにいた。
「こんにちは、みさきちゃん、雪兎くん」
「…………」
櫻井滋は笑顔で挨拶をしてくれるというのに、新田海は睨んでなにも言わない。
そこまで敵対心をむき出しにされても、なにもしないのにな。
「一弥さんから連絡があったんですか?」
あれ、“一弥さん”に呼び方が変わっている。
「うん。雪兎くんたちはなんで?」
「父に聞いて。みなさんにお話がありますし」
「へぇ……、どこでその話聞けばいいの?」
「えっと…………、ちぃちゃん、どこだったっけ?」
急にあたしに投げかけるな。
「あたしが潜入した喫茶店だ」
「え!?あそこ、まだ残ってるの!?」
櫻井滋があたしに言ってくる。
「きちんと調べたぞ」
「へぇ!楽しみだな!」
櫻井滋は一気にテンションを上げた。
「てかさ、雪兎くんって敬語使うキャラ?」
櫻井滋は再びウサギと話し出した。
……あたしはのけ者か。
しかしウサギの敬語はいつもの癖だろう。
普段敬語を使うことは少ないからな。
「なんとなくです。みなさん僕より年上っぽいから」
なんともそれっぽい理由を出してきたな。
「えー?僕だけは年下だよー?21だもん」
……なぜ“だけ”なのだ。
まるでウサギの年齢を知って……



