わがまま姫の名推理




はっきり言うと、無理だろう。


警備としてはなんの問題もない。



だが、乱魔にはそれを上回る能力がある。


まだ詳しく調べてないから、なんとも言えないところもあるが。



そして、乱魔を捕まえるのはあたしだ。


絶対に捕まえてやる。



乱魔が現れるのは、決まって夜の10時。


ぴったりに出現して、獲物を盗んだかのように見せかけて逃走。



…………乱魔は一体なにがしたいんだろう。




宝などに興味がないのに、どうして怪盗なんてやってるのだろうか。



「ちぃちゃん、一回家に戻ろ」



あたしはウサギに手を引っ張られた。


もう少しここにいたかったんだけどな。




家に帰って、あたしは書斎で時間を潰した。



「ちぃちゃん、行くよ?」



またウサギに腕を引っ張られる。


そうしなくても、歩けるんだが……



まあいいか。



「暗いねー……」



あたしの手を繋いで横を歩くウサギが呟いた。



時刻は8時半過ぎ。


暗いのは当たり前だ。



「今日は見学だけど、次からは本格的に捜査とか、警備に参加できるってさ」



なんと!


やっと、乱魔と対決ができるのか!



「嬉しそうだね」



特に表情を変えた覚えはないのに、そう言われて驚いた。



「ちぃちゃんはわかりやすいよ」



そんなこと、初めて言われたぞ……


よく言われるのは「なに考えているのかわからない」なのに。