「14年前の事件を調べて犯人にたどり着いたのは君だろ?さっきも素直に認めればよかったんだが……なかなかそう簡単にはい、どうぞなんて言えない立場でね。14年前の事件、私も捜査していたんだ。もちろん、住吉も。遺族の息子さんのことも知っているが……できるなら私の手で犯人を捕まえたかったよ。だからラビット。私の代わりに必ず、犯人を捕まえてくれるね?」
思いがけない昔話に少々戸惑った。
しかしクイッと口角を上げて署長に答える。
「もちろんです」
署長室を出ると廊下にウサギが残っていた。
「あ、やっと出てきた。署長さんとなんの話してたの?」
「ちょっとな」
これは容易に人に話していいことではないからな。
「それで?どうなってるんだ?」
「今、お父さんが1課のみんなに指示だしに行ってる。だからここで待ってろってさ」
ウサギは退屈そうに壁にもたれかかった。
あたしはその左隣に行く。
「いいよね、ちぃちゃんは。いろんな人から期待されてるし。僕、うぬぼれてたのかなぁ……ちぃちゃんの代わりにラビットやってさ。自分の力じゃないのに、自分が褒められてるって、思い上がってたし……」
ウサギはうつむきながら悲しげに言った。
なんだか今までウサギに悪いことをしてきたような気分になるから、そんな顔をしないでほしい……
「ちぃちゃん、僕……」
「大丈夫だ、ウサギ。大丈夫。あたしがどうにかしてみせる。だからそこまで落ち込むでない」
ウサギの言葉を遮ってまで言ったのはいいものの、一切案は浮かんでいない。
若干後悔はあるものの、ウサギが元気になったようなら問題ない。
「雪兎、知由!」
微妙に気まずい雰囲気となったタイミングで、正広が何人か部下と思われる若い刑事を連れて来た。
「俺たちは今から柏木のところに行くが、お前らはどうするか?」
「僕、行かない」
「ならあたしも行かない」



