ウサギは少し身を引く。
「ホントだよ。ちぃちゃん、今までたくさんの事件を解決してきたでしょ?だから、警察の人たちもちぃちゃんの力を借りたいって言ってるみたい」
おぉ……!
ここまで嬉しいことはない。
「本当の本当に捜査できるんだなっ?」
「うん、できるよ」
あたしは嬉しさのあまり、ウサギに抱きついた。
「そんなに嬉しい?」
若干あきられてるような気もしなくはないが、そんなのどうでもいい。
とにかく嬉しくて、あたしは何度もうなずいた。
翌日、今回は見学という形で、あたしはウサギと警察署に向かった。
ウサギは探偵事務所を設立してて、そこの社長。
ただし、名前だけ。
ウサギが言うには、探偵業はあたしのためらしい。
あたしが退屈しないように。
あいにく、学校には通っているが、いわゆる『友達』というものはいない。
まあ、必要性は感じないからいらない、と言うべきなんだが。
学校では極力しゃべらないようにしている。
声をバカにされるから。
あたしの声はどこにでもいるような女子の高い声と違って、老婆のようなしわがれた声。
それに加えて、この話し方だ。
きっと……いや、必ずバカにされる。
だからしゃべらないのだ。
そしたら友達はできなくなって。
いつも1人で行動してる。
学校ではそうしててもなんてことはないが、プライベートでは寂しく感じる。
常に過保護なウサギがいるから。
「ちぃちゃん、気になることがあったらどんどん意見してね。乱魔はなにも盗んだりしてないけど、犯罪者だから、捕まえないとだし」