気に入らない。
なにも知らないくせに。
あたしもそこまで詳しいわけではないが、それなりに乱魔と関わってきたつもりだ。
それを好き勝手言われるのは嫌だ。
「今度こそ、盗まれないように厳重に警備するんだ!」
1ヶ月前と同じところで正広が指示する。
乱魔が柏木冬馬のものを盗むのはこれで4回目。
3回も乱魔に盗まれた。
ちなみに2回目は本当に柏木冬馬が1人で盗まれないようにしていたらしいが、あっさりと盗まれたそう。
それで予想通り泣きついてきたというわけだ。
「これで僕が狙われるのも最後ですね」
嬉しいようで悔しいのであろう。
複雑な顔をした柏木冬馬がそう言った。
「どういうことですか?」
すかさずウサギが彼に問う。
「僕の大切なもの、あとこれしか残ってないですから」
柏木冬馬はそう言って、自分の手の中にある万年筆を見つめる。
「知由。今回はこの作戦でいいんだな?」
正広が最終確認をしに、あたしのところに来た。
「ああ、それでいい」
捕まえることができるかどうかはわからないが、乱魔の思い通りには進まない、ということに間違いはない。
絶対に盗まれないようにしてやる……!
「乱魔ぁ!」
どうやら10時になったらしく、正広が上を見ながら叫んだ。
乱魔が現れた。
さて、あたしも……
「毎度毎度……柏木冬馬のモノを狙ってるようだがお前はなにが目当てなんだ?」



