「ちぃちゃん!怪盗乱魔って知ってる?」
あれから3年。
あたしはウサギの両親に引き取られた。
つまり、ここの家の子になった。
名字は三崎のままだけど。
あたしは暇さえあれば、書斎へ足を運び、読みたい書物を手に取る。
ちなみに、ここの書物は先月読破した。
読破するまで3年……
少し長かったか。
で、忘れるとこだった。
いつものように書斎で書物を読んでいると、ウサギが突然部屋に入ってきた。
「怪盗乱魔か?知っているが……」
というか、知らないわけがない。
怪盗乱魔。
あたしの中での天才。
あたしがここに来るようになったのと同時に活動開始。
ようやく、最近になってよく騒がれるようになってきた。
『なにも盗まない脱出の天才』と。
本当にその通りだと思う。
「じゃあさ、僕たちのお父さんが乱魔を追ってるのは知ってる?」
「そうなのか……?」
この問いかけには思わず顔をあげてしまった。
「どう、ちぃちゃん。興味持った?」
持ったもなにも、乱魔を自分の手で捕まえてみたいと思っていた身だ。
しかし、ウサギの顔を見ると、ニヤニヤしている。
なにかあるな。
「……なにが言いたい」
「僕たちも捜査に参加できることになったんだ」
「本当か!?」
あたしはついウサギに顔を近付けた。