「え、そこ?」
「ん?違ったか?」
「僕は、乱魔があそこまで柏木さんに執着するのがおかしいと思ったんだけど……」
あー、それもあるな。
だが、あたしには柏木冬馬の自信が不思議でならない。
相手はあの乱魔なのだぞ?
何も盗んでこなかったが、脱出の天才と言われるような怪盗だぞ?
それを相手とするのに、あんなふうに言えるものなのか?
それとも……
「あ……」
「ちぃ?なにかわかったの?」
「柏木冬馬がなぜ乱魔に狙われているのかわかったのかもしれない」
これなら納得がいく。
「なるほどね。ま、詳しいことはあとで考えるとして、早くお父さんたちのところに戻ろ」
ウサギはエレベーターのあるところに歩いていく。
珍しいな、ウサギがあたしの手を握らないとは。
まあそこまで距離がないからかもしれないが。
そしてあたしたちは正広たちがいるところに行った。
「雪兎、知由!乱魔はどうなった!?」
あたしたちの姿を見た途端、そう言いながら駆け寄ってきた。
まるで乱魔が現れたことに気付いてなかったような反応だな……
「ごめん、お父さん。腕時計は盗まれたし、乱魔には逃げられた。それで……」
するとウサギは言葉を濁らせた。
「ウサギ、あたしが言う」
言いづらそうなウサギの代わりを買ってでた。
「柏木冬馬はまた乱魔に狙われている。だが、無能な警察には頼らない、自分でどうにかすると言い張ってきなかない。大切なものを盗まれたからこそ、信頼されていないのだろうが、きっと次も盗まれる」
「知由、お前はなにをしていた」



