あー……
そういえばウサギが正広に話したと言っていたな。
すっかり忘れていた。
「ああ、解けた。そこで、正広たちに協力してもらいたいのだが……」
「なんだ?」
「14年前の事件の資料が見たいのだ」
「……わかった」
この妙な間はなにを調べるのか聞こうとしてやめたのだろう。
聞いても問題はないが、説明は面倒だ。
正広もそれをわかってあたしに聞かなかったのだろう。
「ねえ、知由ちゃん。正広さんばかりについてかないで、私と料理でもしない?」
香苗がすねながら言った。
学校に行け、とかではないらしい。
まあ、それは助かるのだが。
「悪いな、香苗。あたしはどうしても自分の手で乱魔を捕まえたいのだ」
「そっかぁ……じゃあ、乱魔が捕まったら私と遊んでくれる?」
「ああ、もちろんだ」
あたしよりも年上の香苗が可愛く思え、つい微笑んだ。
「きゃー!知由ちゃんが笑った!可愛いっ!」
あたしはこう騒ぐ香苗のほうが可愛いと思うぞ。
「お母さん、食事中だよ。それに、ちぃちゃんも困ってる」
ウサギはもう食べ終えたのか、食器をさげながら香苗に言った。
「なによー、雪兎。あんたはいいわよねー。知由ちゃんとずっと一緒にいるんだから」
自分で言うのもなんだが、あたしはこの家でかなり大切にされている。
だからこそ、幸せすぎて怖い。
いつか、失うのではないか。
あたしの本当の親のように、必要なくなれば捨てるのではないか。
そんな無駄な恐怖心があたしに偽りの笑顔を作らせる。
「ちぃちゃん、無理してない?」
ウサギが席に戻り、あたしの顔を覗きながら言った。
「え!?もしかして、ご飯おいしくなかった?」



