「知由ちゃん、おはよう」
食卓ではウサギの母親、香苗(かなえ)が朝食の支度をしていた。
「おはよう、香苗」
「今日は普通のトーストだけど……食べる?」
香苗があたしにこう聞くのには理由がある。
あたしは朝食をあまり食べないのだ。
毎日抜くわけではないのだが、体が受け付けない。
長い間不規則な生活を送りすぎたのが原因だ。
「ああ、食べる」
そう答えると、香苗は嬉しそうに微笑んだ。
ウサギのおっとりさは香苗譲りだと思う。
「お、今日は全員揃ってるんだな」
するとまだパジャマ姿の正広が来た。
「おはよう、正広さん」
「おはよ、香苗」
2人はギュッと抱き合った。
……朝からウザったい。
もう慣れたが、なんと言うか……
だが、ウサギは微笑ましく2人を見ていた。
さすがとでも言うべきか……
やはり、この2人の子供なだけある。
「さ、みんな座って。今日は知由ちゃんも食べるそうだから」
すべての食べ物がテーブルに並び、全員が席についた。
「「「いただきます」」」
「……いただきます」
あたしは3人より少し遅れて言った。
そして目の前にあったトーストをひと口かじった。
「知由、どうだ?」
すると正広があたしに聞いてきた。
「なにがだ?」
「暗号だよ。解けたのか?」



