何がなんでも、乱魔を殺人犯にするわけにはいかない。
ふと、時計を見ると針が12時を過ぎようとしていた。
あれだけ寝たから、まったく寝る気にならない。
あたしは部屋を後にし、書斎に向かった。
さすがに真夜中で電気をつけなかったらなにも見えないため、電気をつける。
あたしがここに来たのは、言うまでもない。
14年前の成瀬優弥、咲殺害事件について調べるためだ。
ここにその詳しい事件資料があるかどうかわからないが、新聞のスナップくらいはあるだろう。
あたしはそんなわずかな期待を胸に、書斎を探し回った……
のは冗談。
暇さえあればここにこもっていたのだ。
大体の資料の位置は把握している。
「あった……が、どうしたものか……」
見つけたのは早かった。
それなのに。
背が低いせいでその資料に手が届かない。
台がないかまわりを見るが、それらしきものは見当たらない。
今まであったはずだが……
「仕方ない。面倒だが取ってこよう」
あたしは書斎を出て踏み台を探した。
数分後、椅子を持って書斎に戻った。
「……嘘だろ」
まさかの台発見。
あたしがいつもいる端とちょうど対角線となる端に置いてあった。
無駄なことをしたな。
まあ、ちょうど座るところができたと考えればいい。
あたしは持ってきた椅子を台にし、資料を手に取った。
そしてそのままそこに座る。
開いて、あった資料は新聞のスナップしかなかった。
まあないよりはいい。
パラパラとページをめくる。
事件が起こったのは14年前の9月17日。
当時、成瀬優弥は35歳、咲は6歳だった。
殺害に使われた凶器は成瀬家にあったものだったらしい。
そのため、成瀬優弥と咲、それから家政婦の指紋が付いていた。
当然、家政婦も容疑者と思われ、事情聴取。
しかし、これといった動機もなかったため、逮捕とまではいかなかった。
それから14年。
この事件は解決する気配がまったくない。
「調べてみる価値はある、か……」
いつもなら1人ですべてを調べようと思うが、今回ばかりは警察にある資料も見ながらやるほうが効率がいい。
「朝になったら正広に相談しよう……」
あたしは手に持っていた資料を元の位置に戻し、ほかの資料に手を伸ばした。
「ちぃちゃんー?いるー?」
いつの間にか夜が明けていたらしく、ウサギが書斎に入ってきた。
「いるぞ」
「おはよ。朝ごはん、出来てるよ?」
「今行く」
あたしは散らかした資料を片付け、食卓に向かった。



