『乱魔が現れました!』
小型無線機から、若い男の声が聞こえてきた。
さて、乱魔はあたしたちの罠にかかるか……?
と心配したのもつかの間。
『乱魔ぁ!』
聞き慣れた正広の叫び声。
あまりにも大きすぎ、少し耳が痛くなった。
『はぁ!?どういうことだよ!』
聞こえてくる乱魔の慌てた声。
成功だ。
『今回は遅刻しなかったようですね』
ウサギお得意の演技。
さっきまでの騒がしいウサギの面影は一切ない。
『ラビット……!』
次に聞こえてきた乱魔の声には、若干怒りの色が見える。
『今回は逃がしませんからね』
なんだか楽しそうだな、ウサギ。
早く来ないかな、乱魔。
早く、あたしを楽しませてよ。
無線機から聞こえてくる音に集中する。
『ちぃ……!』
すると、ウサギが小さな声であたしの名前を呼んだ。
きっと空海が照明を落としたんだろう。
さあ、早く。
早く、あたしのところに来て勝負をしよう。
あたしが本当に天才なのかはっきりさせたいのだ──
──カチャ……
ゆっくりと扉が開き、人が入ってくる。
あたしは息を潜めた。
「でけぇ……」



