「お前、誰に向って口を聞いてるんだ!」
なんとも典型的な言葉だな。
漫画などでよくお嬢様や坊ちゃんが文句言われたり、気に食わないことがあると言うセリフ。
まさか、この人の口から聞くとは思わなかったが。
「誰って……お前以外に誰がいるというのだ。乱魔について、知らないのであろう?
乱魔は何も盗まない、脱出の天才。それを知っていれば、乱魔から宝を守れ、なんて言わないのだよ。社長さんも、あのお嬢様も、知らないからそう言ったのではないか?」
そう言うと、社長は黙った。
「ちぃ、言い過ぎだよ……」
言い過ぎ?
そんなわけあるか。
あたしはあのバカお嬢様と同様、真実を言ったまでだ。
というか、2人のおかげでストレスが溜まったんだ。
これくらい許せ。
「……なら、どうして警察がここに来る必要があるんだ」
社長がじっとあたしを見たまま言う。
「それは乱魔を捕まえるために決まっているだろう。他に理由などない」
社長の足元はなぜかふらついている。
悔しいのだろうか。
あたしに言い負かされて。
だが、口論であたしに勝てる奴などいないのだ。
「もう……もう、いい。宝が盗まれないなら、お前に執着する必要はない。好きにやれ」
社長はそう言い捨てて、どこかに行った。
「なんだったのかなぁ……」
ウサギは不思議そうにつぶやいた。
「ウサギ、そろそろだ」
あたしの言葉を聞いて、ウサギは腕時計を見る。
「あ、ホントだ!ちぃちゃん、また後でね!」
そして、慌てて廊下を走っていった。
相変わらず騒がしい奴だな。
「さあ、ゲームを始めよう──」



