予想通り、数時間後、警察に乱魔から予告状が届いた。


内容はこんな感じだ。




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また空が暗くなった。
星が出ている。
今宵は黄色いウサギも見える。
僕らは野原でそれを眺めるとしよう。

すると、首に手が伸びてきた。
まるでそれを渡せと言うかのように。
だけど絶対に渡さない。
だって、それは僕たちのものだから。
怪盗乱魔
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……どういう意味だ、これ。


犯行予告、ということはわかるのだ。


だが、なにをいつ盗むのか、皆目見当がつかない。



今までの乱魔の予告状は『今宵、〜にある……をいただきに参上します』というような、簡単なものだった。


それなのに、どうして急にこんな……



もしかして、これは挑戦状、か?


乱魔から、あたしへの……



そうか、そういうことか。


ならば、早めに解いて捕まえてやる……!



まず、はじめの3文は時を表しているはずだ。


『また空が暗くなった』というのは、夜ということ。


『星が出ている』というのも、同じことを示していると考えられる。


『今宵は黄色いウサギも見える』というのは……


満月、ということか?


だとしたら、明日の夜10時。


明日は満月だからな。



しかし、『僕らは野原でを眺めるとしよう』というのがまったくもってわからない。


どうして野原なんだ……


野原から夜空を眺めることで、なにか宝が盗めるのか……?



いや、違う。


この文と『星が出ている』を合わせて、人名にするんだ。


だが、それだけだと組み合わせがありすぎる。



そこで、次の1文がヒントになるんだな。


『首に手が伸びる』なんて言ったら、ネックレスを狙っていると言ったも同然だ。


その後の2文は特に関係がないと見て、最後の1文で『必ず盗んでみせる』と言ってるんだろう。


星、野、原の漢字の組み合わせでできた名前で、ネックレスの宝を持った人間は……



見つけた。


星野財閥。


セキュリティが日本一の家だ。