乱魔はその紙をカウンターに座っている男に渡す。
すると、それを渡された男は嫌そうな顔をしてパソコンに向かった。
なるほど、彼が空海か。
って、そうじゃない。
逆探知などされたりしたら、作戦がバレてしまう。
どうにかして早く電話を切らせないと……
「あんた、誰?」
……まずい。
「どうしてみさきがあんなとこにいたのか知ってんのか?」
お?
話がそれたみたいだ。
あれ……
どうして乱魔は黙っているんだ……
「5番倉庫は知ってるか?」
急に話し出したと思えば。
たしか、3丁目にある倉庫だよな。
それがどうか……
「明日の朝9時、そこにみさきを置いておく」
な……!?
どういうことだ……
すると、乱魔はスマホを耳から離した。
電話が終わったようだ。
「一弥、逆探知できなかったぞ」
空海がパソコンを閉じながら、不服そうに言った。
「まあ大丈夫だって。俺に任せろ」
そんな空海とは裏腹に、乱魔は自信ありげに言った。
だが、空海ともう1人の男は不安そうな顔をしている。
乱魔ははぁ……、とため息をつく。
そして、紙に何か書いて、見せてきた。
『今日はもう遅いから、寝ろ』
そうか。
そろそろ12時を過ぎるころだな。



