わがまま姫の名推理




ん……?


カウンター?


ということは、ここは喫茶店か?




いや、そんなことより。



「一弥が筆談してあげなよ」


「お前が連れて来たんだろ」



へー、薄情なんだな、乱魔の仲間は。


というか、この男があたしを連れてきたということは、こいつが乱魔ということか?


『一弥』と呼ばれていたな……


これが本名、だよな。



すると、乱魔はペンと紙を持ってきて、あたしの近くに腰掛けた。



『どうしてあんなとこにいたんだ?』



見せられた紙にはそう書かれていた。



『わからない』



ここで下手に伝えると、余計に怪しまれる。


だから、わからないと答えた。


乱魔は戸惑っているようだ。



すると、乱魔のスマホが鳴った。


今度は電話だ。


「非通知……?」


だとしたら、相手は……



「……もしもし」



警戒しながら電話に出る乱魔。


相手の声は聞こえないが、このタイミングだと、間違いなくウサギだ。



「あの?」



それを言って数秒後、乱魔は顔をしかめた。


……なにを言ったんだ、ウサギ。


すると、乱魔はスマホを片手に紙になにか書き始めた。


そっとのぞき込んでみると……



『電話の相手が変だ。逆探知よろ』



あー、嘘。


思いっきり怪しまれている。