刻一刻と時は過ぎていく。
もう少し……
あと9、8、7、6、5、4、3、2、1……
0……!
「……あれ?」
騒ぎが起きない。
むしろ、静かだ。
「ウサギ?どうなってるんだ?」
『乱魔が現れないんだ』
は!?
奴に限ってそんなことあるわけ……
すると、寄りかかっていた車から慌てた声が聞こえてきた。
「おい、乱魔!なにやってんだ!とっくに時間になってんぞ!」
……なるほど。
遅刻、というやつだな。
『珍しく遅刻だな、乱魔』
部屋の中の会話が聞こえてくる。
『ちょっと考えごとしてたんで』
これが、乱魔の声……
20代前半くらいの若い男性。
どこにでもいそうだ。
「ウサギ、もう逃がせ」
あたしはウサギに指示をする。
『今回僕は君を逃すためにここに来た。君とは話がしてみたかったからね。さあ今日はもう終わりだ。さっさもとここから逃げるんだ。次からは容赦しないからな。それと、遅刻するなよ』
その言葉が終わると同時にドアが閉まる音がした。
もうすぐ乱魔がここに来る。
あたしはそう思い、カバンから出していたパソコンをしまい、耳につけていた無線機を外す。
そして、寝たふり。
あとは乱魔が来るのを待つだけ──



