【ねぇ、運命って信じる?】




ーーーーー美紀の家



「おはよーお母さん」

「美紀ちゃん、おはよう。
入学式の翌日も寝坊するんじゃないかと
心配してたよー?」

「寝る子は育つ!」

「横に大きくなるよ」

「なりませんから!」



もしゃもしゃ


パンとコーヒーの組み合わせって好き。



鼻腔をくすぐる香ばしいパンの香り


あたたかい気持ちにしてくれる
優しいコーヒーの味



……好きだなぁ



「ふふっ」

「どしたの?お母さん」

「今の顔、ケンタッキーズに
見せてあげたいなー」

「……そんなに変な顔してた?」

「ふふっ……どうだろうね?」

「変なの」


あー……美味しい。


「あ。そういえば美紀ちゃん」

「んー?」

「これ。美紀ちゃん宛みたい」


そう言ってお母さんが差し出したのは
「桃園美紀 様」と書かれた
1通の手紙だった。


真っ白な封筒に並んだ四角い文字。


差出人は……



「おかーさーん。名前はー?」

「そうなのよー名前が書いてないの」

「差出人の分からない手紙とか……」



果たし状か。



ーーーーー



「面白いこと言うね」

「いや、ただのバカだろ」

「剣太にだけは言われたくない!」



朝の通学路を幼なじみと歩く。


小鳥たちの歌声と
柔らかな心地のいい太陽の温もりと
緩やかに吹き抜ける春風。


日本の四季っていいな。



「それで手紙の内容は?」

「まだ開けてないから分かんない」

「貸せ!オレが開けてやる」

「あ、こら!」


運動神経“だけ”は良い剣太は
ヒョイっと手紙を奪って
ランランルー♪←


「あ。剣太、開けちゃった」

「あとで絞めなきゃな……ケケケ」

「美紀ちゃん……怖いよ……」


引きつった顔の健太を連れて
とりあえず剣太の後を追いかけた。