「っ、」
まずは頬についた傷に消毒液を染み込ませたガーゼを当てる。
染みて痛みが走ったのか、恭弥さんは頬にガーゼが触れた瞬間、ピクリと肩を上げ片目を瞑った。
「この傷、どうしたの?」
頬だけじゃなく、腕にまである……。
心配して聞いた後で、ハッとする。
どうしたの?って、喧嘩に決まってるじゃん!ていうかさっき、そう察したじゃん!しかも蜜くんにも同じ質問したじゃん!なに当たり前なこと聞いてんの、私!?
「……女にやられた」
「え?」
つい質問してしまい内心慌てていた私は、うんざりしているような暗い顔つきの恭弥さんが言った言葉に目を丸くする。
女の子と喧嘩してたの……!?
「昨日の夜は雑魚のヤンキー相手にして適当に遊んでたのによー……。あ、でも、雑魚に傷つけられたどんくせぇ奴もいたんだっけ?」
「うるさいな!あれは相手が暴れたせいで、たまたま鉄パイプの端が頬にかすっただけだよっ」
昨日の夜から喧嘩してたんだ……。
前髪をかきあげながら言った恭弥さんは、唇を尖らせている蜜くんを見てニンマリと笑っている。
「相手が暴れたせいで朝方まで喧嘩してたわよね」
利央さんは平然とした顔でさらっと言った。
朝方まで……!?すごいな。よく体力持つなぁ。
「俺たちは眠いっつのに、学校向かう途中で何人もの女が待ち伏せしてて、まじ焦ったわ。眠くて体力ねぇのに、まさか全速力で走る羽目になるとは……」
なんとなくわかった。要するに喧嘩したあとで女の子に追い回されてたってわけだ。
人気者のヤンキーは大変だね。同情するよ。



